
なんで辞めちゃうのー!?
看護師を辞める時、よくそう聞かれました。
人間関係が原因かと思われることもありますが実はそこが理由ではなかったんです。

人間関係は悪くなかった。
むしろ理解のある方も多かったと思います。
それでも辞めることを選ばざるを得なかった――。
この記事では、子育てと仕事の両立に限界を感じた私の経験をお話しします。
私が働いていた職場について
私が勤めていたのは、呼吸器・循環器内科・眼科の混合病棟。
次のような特徴があり、業務量も精神的負担も大きい環境でした。
- 入退院がとても多い病棟で、常に業務に追われていた
- コロナやインフルエンザなど感染症の対応が多く、感染対策に神経を使う日々
- 突発的な対応(急変・転棟など)が多く、毎日がイレギュラーの連続
- 心カテの検査出しや眼科のOPE出しなど、科ごとの対応知識が求められる混合病棟ならではの大変さもあった
- 慢性的な人手不足があり、一人ひとりの負担が重くのしかかる環境
人間関係が特別悪かったわけではありませんが、そんな中でも「この働き方をずっと続けるのは難しい」と感じる場面が何度もありました。
子ども3人の子育てと、シフト勤務の壁

子どもが3人いると、どうしても体調不良が連鎖します。
1人熱が出たと思ったら、翌日にはもう1人、そしてまた…。
熱が出るのは突然、でも職場は回っている
私は時短勤務でフリー業務を担当していて、他の看護師から「本当に助かってるよ」とよく言われていました。その分、急な欠勤をしたときには「昨日は大変だったよ〜」と言われることもあり、申し訳ない気持ちでいっぱいになることがよくありました。

助かるって言ってもらえて嬉しい反面、迷惑かけたときの罪悪感がつらかったです…
“朝夕2回報告”のストレス
子どもが熱を出して欠勤する日は朝だけでなく夕方にも「まだ熱があるか・明日出勤できそうか」報告するように言われていました。もちろん、職場としては状況を把握したいという意図はわかります。
でも、子どもがぐったりしている中で、「夕方くらいにまた連絡ください」と指示されると正直なところプレッシャーを感じていました。

ただでさえ子どもが辛そうでバタバタなのに…
“連絡忘れないようにしなきゃ”って、それもすごくストレスだったな。
報告のたびに「また休んでごめんなさい」と思ってしまって、誰も責めていないのに勝手に自分を責めてしまう――。そんな悪循環に、心がどんどん疲れていきました。
病み上がりの休みにくさ
正直、子どもに熱があるときの方がまだ休みやすかったです。熱がある=誰が見ても明らかに体調不良。職場に連絡するときも「今日はお休みします」と伝えやすかったんです。
・ 熱が下がって症状だけが残っている時
・ 病み上がりで本当はもう1日休ませたい時
そのときの方が、はるかに言い出しにくさを感じていました。
だめとは言われない。でも、「もう出てこられるよね?」という空気が伝わってきてしまう。
実際、師長さんの反応からも「快くは思われていないな…」と感じることがありました。

まだ咳も出てるし、保育園も本人がしんどそう…。
でもまた休むって、言いにくいんだよね…。

ママにいてほしい!
子供にそう言われても、義母に預けて出勤したこともありました。
子どもにも申し訳ないし、自分の気持ちにもウソをついているようで
本当に苦しかったです。誰も明確には責めていない。
でも、そんな“目に見えない圧”に、自分を責めるようになっていった気がします。
平日に休みを取りづらい職場

平日休みを取るための「休日出勤ルール」
子育てと両立するために「時短勤務」を選んでいましたが、ある日「夜勤や休日も出てほしい」と言われるようになりました。

正直、嫌でした…。
わたしの病棟では「平日休みを取りたいなら休日に出勤して、その代休を使う」という謎ルールがありました。もう一人の時短勤務の人にはそうしてもらっている、とも言われました。
でも夫からは「そんなのする必要ない」と言われ、板挟みに。
正直、私自身もしたくなかったので、その旨を師長に伝えると話は看護部長まで進み、なんとか「休日・夜勤免除申請書」をもらえることになりました。
「免除期間は夜勤の準備期間だからね」と言われて…
安心したのもつかの間、看護部長から言われたのは「この免除期間は、夜勤ができるように環境を整える期間だからね」という一言。

夜勤はしばらくやるつもりなかったから、正直びっくり…
これを聞いて「やっぱりこのまま働き続けるのは無理かも」と強く感じました。
肩身が狭いまま働くくらいなら、自分で選び直そう。そう思い、退職を決意しました。
「自己犠牲が当たり前」の職場に感じた違和感
制度があっても、それが機能していないと感じる場面が増えていきました。
中でも特に驚いたのが、「退職時の条件」に関する謎ルールでした。
「3ヶ月常勤」の謎ルール
その後の面談で「休日勤務も夜勤も、今後やるのは厳しいので退職します。」と伝え、退職の意思を伝えました。すると今度は、「時短で退職するなら、3か月間は常勤勤務してから」という謎ルールにぶち当たりました。

えっ、これ、みんな従ってるの?

遠方から親にきてもらってやりました…
さすがにこれは納得できず、労働基準監督署に電話で確認。

就業規定に書かれていなければ、やる必要はありません。
規定に書いていないことを確認し、事務にも「看護部が独自に作ったルールです。」と聞いたのでそれを看護部長に伝えました。ちょっとした一悶着はありましたが、常勤をせずに無事退職できました。
「前例を作ってくれてありがとう」と言われて
退職時、同じ時短仲間の看護師たちから「前例を作ってくれてありがとう!」と声をかけてもらいました。それと同時に、こんなに働きづらくても我慢して働いている看護師が、まだたくさんいるんだ…と実感しました。

子どもが小さいうちは大変だよね
そう言ってもらえる一方で「でもみんなそうだよ」「誰かがカバーしないと回らないからね」
という“あたりまえ”もありました。看護師という仕事は本当にやりがいがある。
でもそれが、自己犠牲のうえに成り立っているような環境に疑問を感じ始めていました。

自己犠牲が当たり前のように評価され、それが“正義”になっているような空気。
でもそれって、本当に健全な職場の在り方なのでしょうか?
ナイチンゲールも、「看護は自己犠牲であってはならない」と言っています。
私はこの言葉に深く共感しています。わたしの体験や発信が誰かが「もう我慢しなくてもいいかも」と思える、そんなきっかけになれたらうれしいです。
辞めることは逃げじゃなかった
辞めるまでに、何度も悩みました。「続けた方がいいのかな」「甘えてるって思われないかな」
でも最終的には、「自分の心」と「家族の生活」を一番に考えて、辞める決断をしました。今は、在宅でできる仕事にシフトして子どもたちと過ごす時間を大切にできています。
あのときの決断があったから、今の私があります。
まとめ|人間関係が良くても辞める理由はある
- 人間関係は悪くなかった。それでも辞める理由はあった
- 子育てとの両立は、想像以上にむずかしい
- 制度があっても使いにくい現場の“空気”がある
- 迷惑をかけているという気持ちが、自分を追い込むこともある
「続けることが正解」ではない。
「辞めることが悪」でもない。
同じように悩んでいるママ看護師の方へ「あなたの選択にも価値があるよ」と伝えたいです。
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